カロテノイドサプリの注意点|喫煙者への説明を薬剤師が解説

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「カロテノイドのサプリって、体にいいイメージしかないんですが……」——カロテノイドは緑黄色野菜や果物に含まれる天然色素の総称で、抗酸化作用をうたうサプリメントとしても広く流通しています。しかし、代表的なカロテノイドであるβ-カロテンについては、喫煙者・元喫煙者が高用量のサプリメントを摂取すると肺がんリスクが上昇したとされる大規模臨床試験の報告があり、「野菜で摂る分には問題ないとされる栄養素が、サプリメントの高用量摂取では話が変わる」典型例といえます。本記事では、厚生労働省の情報発信サイトでも取り上げられているこれらの知見をもとに、薬剤師として患者さんに伝えておきたいポイントを整理しました。

カロテノイドの基礎知識

カロテノイドは、β-カロテン、α-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン等を含む脂溶性色素の総称です。このうちβ-カロテンとα-カロテンは体内でビタミンAに変換される「プロビタミンA」としての性質を持ちますが、リコピンやルテイン、ゼアキサンチンにはこの変換機能はありません。抗酸化作用を持つ成分として、老化対策・生活習慣病予防をうたうサプリメントに配合されることが多い成分群です。

喫煙者における肺がんリスク上昇の報告

β-カロテンの高用量サプリメントについては、喫煙者・元喫煙者、アスベストへの職業曝露歴がある人で肺がん・死亡のリスクが高くなることが、厚生労働省の統合医療情報発信サイト(eJIM)でも紹介されています。具体的な数値としては、以下の大規模臨床試験(原著論文)で次のような結果が報告されています。

  • ATBC試験:喫煙男性が高用量のβ-カロテン(20mg/日)を5〜8年間摂取したところ、肺がんリスクが約18%上昇したと報告されています
  • CARET試験:現喫煙者・元喫煙者、およびアスベストへの職業曝露歴がある方を対象に、β-カロテン30mgとパルミチン酸レチニル25,000IUを含むサプリメントを摂取したところ、肺がんリスクが約28%、肺がんによる死亡リスクが約46%上昇したと報告されています

いずれも野菜・果物由来の食事性摂取ではなく、高用量のサプリメントによる結果である点には注意が必要ですが、現喫煙者・元喫煙者、アスベストへの職業曝露歴がある方については、β-カロテンの高用量サプリメントについて慎重な情報提供が求められます。

医薬品との相互作用

肥満治療薬のオルリスタットは、脂溶性ビタミンであるビタミンAやβ-カロテンを含むカロテノイドの吸収を低下させ、血中濃度を下げる可能性が報告されています。オルリスタットを服用中の患者さんがカロテノイドサプリメントを摂取する場合は、服用タイミングをずらす等の工夫について案内できると丁寧です。

確認したいポイントの目安

患者の状態 確認したいポイント
現喫煙者・元喫煙者 β-カロテンの高用量サプリメントについて、肺がんリスク上昇が報告されている臨床試験の存在を伝えられているか
アスベストへの職業曝露歴がある 同様にβ-カロテンの高用量摂取に慎重な情報提供ができているか
オルリスタット(肥満治療薬)を服用中 カロテノイドの吸収低下の可能性を伝えられているか
妊娠を希望・妊娠中 プロビタミンAとしての性質を持つβ-カロテン・α-カロテンについて、ビタミンAの過剰摂取と合算されないか確認できているか

患者への説明トーク例

「β-カロテンなどのカロテノイドは、緑黄色野菜から摂る分には問題ない栄養素なんですが、サプリメントで高用量を摂った場合の話は少し違っていて。特にタバコを吸われている方、以前吸われていた方では、肺がんのリスクが上がったという大規模な研究結果があるんです。もしよろしければ、喫煙歴について教えていただけますか?その上で摂取量について一緒に考えさせてください。」

まとめ

カロテノイドは緑黄色野菜由来の身近な抗酸化成分ですが、β-カロテンの高用量サプリメントについては、喫煙者・元喫煙者における肺がんリスク上昇が大規模臨床試験で報告されています。食事由来とサプリメント由来、喫煙歴の有無を分けて説明できることが、薬剤師としての専門性につながります。脂溶性ビタミンという観点では、ビタミンAサプリの過剰症と妊娠中の注意点もあわせてご参照ください。


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